学術論文の翻訳を依頼するにあたっての業者選びのポイント、料金相場を紹介しています。
学術論文を翻訳依頼する際に、確認しておきたい3つのポイントをお教えします。
学術論文の翻訳では専門的な知識が必要となります。
日本人がみな日本語で専門的な論文を書けないのと同様に、翻訳もネイティブの人が必ずしも専門的な論文を書けるとは限りません。例えば、英語力を測るテストで良いスコアをもっている翻訳者が売りの翻訳会社だったとしても、各分野の専門知識を持っているわけではないのです。
学術論文には教育、社会学、経営学、科学、医学、エンジニア系、自然科学など分野は多岐にわたるため、その分野を得意とする専門的な翻訳会社に依頼をする必要があります。
また、実際に翻訳した文書を誰が読むのかも検討しておくことも重要。読者が学者等の専門家ならまだしも、その学問に精通しているわけではない一般読者が読むことが想定されているならば、わかりやすい解説を交えての翻訳が必要です。
判断基準としては学術論文の翻訳実績がある会社や、その分野の専門教育を受けている翻訳者が在籍しているかどうか、翻訳を依頼する際に確認をしておく必要があります。
さらに学術論文には機密性が高い内容が含まれている場合もあるでしょう。翻訳した内容を発表する前に第三者に漏らされてしまったら元も子もありません。機密保持契約がしっかりと結べる、信頼できる会社を選ぶ必要があります。
翻訳を依頼する上で、最も気をつけなければならないのがこの誤訳の問題です。
翻訳には「直訳」と「意訳」の2つの手法があります。直訳とは、原文の単語や熟語、慣用句をそのまま別言語へ置き換える方法です。
この直訳に対して、文章を読みやすくするため原文を始めからリライトするように翻訳する手法を意訳と呼びます。翻訳会社が行う手法は主に「意訳」であり、「直訳」は依頼者からの要望がない限り選ばれることはありません。
しかし、この意訳は直訳に比べ、誤って訳してしまうリスクが高いのです。誤訳をしてしまう理由としてあげられるのが、「論理の飛躍」と「客観視の欠如」です。
誤訳されやすい理由
論理の飛躍
…… 意訳を行う場合、読み手が理解しやすいよう、原文の内容をより簡潔・明瞭な文に替える作業を行います。その際に、文章の内容を省略してしまい、意味の通らない文になってしまうことがあります。
例えば「夏休みのシーズンでハワイへの旅行客が増えた」という文章があるとするなら、読んだ多くの日本人は「ああ、夏だから海の綺麗なところに行くのだな」と考えます。しかし、当のハワイの人が読めば、「なぜわざわざ暑い時期に暖かい地域へ出向くのだろう?」と疑問を抱くでしょう。
同じ日本人ならば連想できる内容でも、海外の人では連想ができず、内容を理解できない場合があります。これを翻訳上での「論理の飛躍」と呼ぶのです。
客観性の欠如
…… 翻訳者が作業を行う場合、原文を隣に並べながら文章の作成を行います。原文の意訳をする場合、当然ながら、翻訳者は原文の内容を把握しています。しかし、内容を正確に把握しているが故に、客観性を欠いてしまうことがよくあるのです。
例えば、「製品の省エネのためにベアリングの摩擦係数を減少させた」という内容を訳す場合、読み手が専門的な用語に疎い人の場合、一体どういう意味なのかピンとこないでしょう。そこで翻訳者は内容をわかりやすくするため、「ベアリングという部品を改良したことで省エネ効果もアップ」という内容に書き換えたとします。翻訳者にとって非常にわかりやすい内容となりましたが、一方で読み手側は「なぜベアリングという部品が変わっただけで省エネに繋がるのだろう?」という疑問が生じてしまうのです。
翻訳者は原文の内容を理解しているため、上記のような翻訳内容でもわかりやすいと感じますが、読み手側から見れば説明不足による「論理の飛躍」が起きてしまい、読み手を混乱させてしまうことに繋がります。
このような誤訳リスクを回避するには、しっかりとしたアフターフォローの体制を取った翻訳会社に依頼するとよいでしょう。翻訳した内容が原文の内容と食い違っている場合、論理の飛躍が起きている場合など、アフターフォローサービスによってすぐに修正してもらうことができます。
誤訳による問題以外にも、原文の内容自体に誤りがあった場合や、より内容をわかりやすくするために文章の一部を変更したい場合などに行うのが「改稿」です。細かい計算や専門用語を記載する論文など、この改稿がよく行なわれます。
翻訳会社は、依頼者の要望があれば改稿にも対応します。依頼者は翻訳者へ直接電話やメールで連絡できるので、場所や内容を細かく伝えながら改稿を行ってもらえるでしょう。
現在ではどの翻訳会社も独自のアフターフォローサービスを展開しているため、一概にどのサービスが優れていると判断することはできません。より優れた会社を見つけ出すには1つ1つの翻訳会社のホームページを調べる必要がありますが、翻訳会社は国内に多く存在するため、全て調べるには時間と労力が掛かります。
そこでオススメできるのが、情報誌や口コミサイトの利用です。どちらも翻訳会社のサービス内容について一括で羅列されているので、1つ1つ調べ上げる時間と手間を大きく省けるでしょう。
また、口コミサイトでは実際に翻訳サービスを利用した人の評価を調べられるので、優れた会社を見つけ出すための参考となります。費用が懸念される場合であれば、翻訳会社へ見積りを依頼するほか、情報誌やサイトからキャンペーンの情報などを調べることも重要です。
ここまでアフターフォローサービスの必要性について触れてきましたが、本来こうした誤訳は起こってはならない問題です。いかに手厚いアフターフォローサービスを提示している会社でも、そもそも誤訳を防ごうという対策をろくに行っていない、いい加減な会社であれば、作成した翻訳文の内容すら疑わしくなるでしょう。
誤訳リスクのない優良な会社を選びたいなら、アフターフォローに関する内容だけではなく、誤訳を防ぐためにどのような取り組みをしているかもしっかりチェックしましょう。翻訳した文章を厳しくチェックする部署が会社内にあるか、外国語に翻訳した文章を該当する外国語が母国語である翻訳者がチェックする(ネイティブチェック)体制が取られているかなど要チェックです。
また、翻訳者が論文などの原文の内容を把握できる専門家であるといった点まで調べると、誤訳リスクの高い会社を避けることができるでしょう。
相場の一例として、和英翻訳の場合、1ワードにつき8~15円ぐらいが相場になります。
相場と比べて、ずっと低い価格を提示している翻訳会社は機械翻訳を使っている可能性があるため、学術論文の翻訳には適しません。この翻訳料金の相場を目安にして翻訳会社選びの参考にしましょう。
ここでは、当サイトに掲載されている論文翻訳が依頼できる会社の中から、無料トライアルとネイティブチェックに対応しており、費用が安い5社をピックアップしています。(2021年8月調査時点)
研究論文の翻訳を専門としているユレイタス。論文の分野は、医学・薬学やライフサイエンス、物理学・工学、人文社会科学、経済学・経営学です。和英・英和の翻訳を中心として、研究成果の発信を目指す研究者を支援しています。翻訳者には、それぞれの分野を修めた本物の知識を持つ専門家を起用。専門性の高い翻訳者を2,000人以上準備し、翻訳は必ずその分野に精通しているスタッフが行うので、より専門性の高い文書を作り上げます。料金プランも複数用意し、翻訳レベルやアフターサービスに違いのあるプランを自由に選択可能です。
日英 1文字/8.6円~
英日 1ワード/8.6円~
見積りは営業時間ないなら1時間以内
年中無休
医薬の研究開発、治験、学術論文を専門とした翻訳会社です。各分野の学位や研究実績、資格を持っているエキスパートが担当するので、正確な翻訳が期待できます。品質の高さから、品質マネジメントシステムの国際認証であるISO9001:2015、翻訳の国際規格ISO17100:2015を取得した会社です(※)。日英翻訳や英日翻訳はもちろん、中国語や韓国などのアジア言語の翻訳依頼も可能。料金プランは3つ用意しており、訳文のチェック体制や希望する予算に適したものを選べます。※引用元:クリムゾンインタラクティブ・ジャパン公式サイト(https://www.crimsonjapan.co.jp/)
日英 1文字/8.5円~
英日 1ワード/9.4円~
最低発注料金は15,000円
見積りは2時間以内に返信
様々な分野で翻訳を提供しているブレインウッズですが、学術論文の翻訳も依頼可能です。論文やレポートライティングの経験が豊富なネイティブ翻訳者が行います。経済学、政治学、社会学、医学、薬学、電気工学など、幅広い学科の翻訳が可能です。対応言語は、英語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語。他の言語も相談できます。アフターサポートも充実。『ドラフト仕上げ』以外なら、納品後の質問にも回答してもらえます。翻訳の意図など、すり合わせできて安心です。
経営情報・財務諸表の日英翻訳は20,000文字~、450,000円~
学術論文の料金例記載なし。
公式サイトに料金シミュレーターあり。
情報がありませんでした
心の通うコミュニケーションをモットーに営業しているアクセント。2004年設立、これまでに多くの実績を積み重ねてきた翻訳サービス会社です。公式サイトによると、学術論文では、「海外への投稿用医学論文」の対応が可能。他の分野の論文に関しては情報がありませんでしたが、専門性の高い分野の翻訳に対応しているので、論文の対応も依頼できるでしょう。専門知識がある翻訳者が担当するので、高品質な訳文を納品してもらえます。英語以外でも多数の言語に対応可能です。無料トライアルも用意されているので、利用してみてください。
一般文書の場合
日英 1文字/9円~
英日 1ワード/11円~
論文の料金は記載がありませんでした
見積りは90分以内に返信可能
英訳・和訳の翻訳サービスを提供している会社です。学術論文の翻訳も可能で、医学論文などの専門性の高い文書の翻訳依頼を受け付けています。公式サイトでは、医学・医療・医薬以外の論文分野は具体的には記載されていませんでしたが、各種論文に対応できるとのことで、様々な分野の論文を翻訳できるようです。各分野で学士・修士・博士号の取得者や研究員、実務経験者を翻訳者として揃えています。専門知識のある翻訳者だから安心。品の高い訳文を提供してもらえます。
日英 1文字/8円~
英日 1ワード/8円~
内容の専門性により価格が決まる
見積りは、最短1時間、遅くても24時間以内に対応
ここでは、論文翻訳を依頼できる翻訳会社の一部を紹介しています。
人文学や経済学などの文系分野から、医学や工学などの理系分野まで、幅広い範囲の学術論文の翻訳に対応しています。10年以上の論文翻訳の実績の中でクレームやトラブルがほとんどなく、ネイティブによる校閲やPhD取得者による翻訳サービスも魅力です。
また、研究費や公費による支払いなどにも柔軟に対応しています。
医学論文など高度に専門的な学術論文の翻訳を請け負っています。専属の日本人スタッフによるチェック、各分野に特化した校正者によるチェック、さらに各言語のネイティブ校正者による最終チェックと、多段階チェック体制で翻訳ミスを防止し、さらに内容の正確な伝達を目指しています。
投稿前の再校正が何度でも無料という点も見逃せません。
大規模な会社でないからこそ、クライアントとの距離が近く、リクエストや相談へ柔軟に対応できる体制を重視しています。
過去の依頼についても情報管理がしっかりしており、以前の翻訳内容や依頼者の好みなどを反映してくれるため、満足感も高められるでしょう。納品後の問合せについても基本的に無償対応されているのもポイントです。
さまざまな分野の専門研究や資料について、それぞれの分野に関して経験豊富な翻訳者が、原稿の用途に合わせた論文翻訳を実施しています。
日本語からの英訳だけでなく、多言語に対応しており、さらに論文構成やネイティブチェックだけの依頼も可能と、ニーズごとにサービスを選択できることも重要です。官民問わず、多くの企業や機関から依頼されてきた実績もあります。
様々な分野について、修士号や博士号を持つ専門家が在籍しており、留学経験豊富なネイティブ翻訳者と連携した論文翻訳を提供しています。
高度な情報を取り扱う論文翻訳だからこそ、セキュリティ対策にも力が入れられているのもポイントです。電子データの保護や会社の物理的な監視体制、各社員との機密保持契約など、顧客に安心感を与えるために妥協がありません。
アットグローバルは論文、学術資料などの専門的な翻訳を手掛けている翻訳会社です。それぞれのジャンルの学術論文における専門知識を持ったプロフェッショナルが活躍しており、質の高いサービスを受けれます。翻訳やネイティブチェック、原文との突き合わせチェックといった基本的なサービスに加え、用語集の作成や各言語でのDTP、翻訳証明書の発行など、複雑な言語の知識を求められる案件に対し、さまざまな形でサポートをしてもらえることでしょう。
翻訳会社であるインターブックスの大きな特長は、短納期で高品質の成果物を納品してもらえること。通常はA4原稿用紙1~5ページ分の内容を3~4日の納期で翻訳してもらえますが、スピードコース(特急納品)での依頼であれば、1~2日で納品してもらえます。さらに、夕方に翻訳物を預ければ翌日午前中に納品する、超特急翻訳などの依頼もできます。翻訳の案件は、急ぎで必要なケースが多いものです。そのような案件が出てきた際に、非常に心強い存在だと言えるでしょう。
エディテージは、英文校正のサービスを通じて日本人研究者の論文投稿を15年以上にわたってサポートしてきた会社です。2011年には、バイリンガル翻訳者による日英翻訳サービスを開始。英語での論文執筆の負担を軽減する取り組みを行っています。翻訳の際は顧客の研究領域を理解したバイリンガルの翻訳家とマッチングしてもらえる上、経験豊富な英文校正者が成果物をチェックし、適切な学術英語に仕上げてくれます。研究者の心強い味方と言えるでしょう。
JOHOは、医学・薬学研究の実務に従事した経験を有する翻訳者が在籍している翻訳会社で、医学や薬学に関する論文の翻訳などを得意としています。加えて、各専門分野をカバーするため、現役を引退した医師または医学者が校正を担当してくれます。翻訳実績は豊富であり、言語についても世界各国のものを多数取り扱っているので、状況に応じた翻訳サービスが受けられるでしょう。
ACNの売りは、手際の良いスピーディーな翻訳です。学位を持った翻訳者が300名以上もおり、品質の高い翻訳を提供しているのはもちろんのこと、急な依頼にも対応してもらえます。翻訳依頼をリピートするお客さんも多く、創業から20年もの歴史があるため実績もあると言えるでしょう。
ホームページ上から簡単に見積依頼をすることができる上、初めての利用の場合は翻訳料金が割引となるので、迷っている方は検討してみるのがおすすめです。
翻訳センターは医薬、特許、工業・ローカライゼーション、金融・法務の4つの分野に特化した翻訳を行う会社です。これらの分野の翻訳は特に専門知識を必要とするため、専門のスタッフが翻訳を担当します。
翻訳のクオリティが高いのはもちろんのこと、付随するサービスも充実しているのもポイントです。外国への特許出願のように煩雑な手続きをサポートするもの、翻訳語のドキュメントのレイアウト調整や印刷などにも対応してもらえます。
※公式サイト上で翻訳の実例や取引実績を開示しており、問い合わせ・見積り対応が最短1時間以内の翻訳会社を、掲載されている実績実例数順で紹介 (ケースクエア:127件、NAIway:89件、ユレイタス:62件)※2021年8月調査時点)